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マイナ不具合でも3割負担 厚労省、患者窓口10割回避 病院不足分補填

マイナンバーカードと一体の「マイナ保険証」の不具合により「無保険扱い」となった患者が医療費10割を請求される問題で、厚生労働省の対策案が分かった。医療機関に対し、患者の自己負担を本来の3割などにするよう求める。その後、加入保険を確認できなくても、病院などが残りの医療費を受け取れずに不足が生じないよう補填(ほてん)する。関係者が28日明らかにした。

 29日にマイナ保険証の厚労省推進本部で議論し、月内にも医療機関などに通知する見通し。

 厚労省は保険証がなくても保険診療を受けられる災害時と同様の仕組みを活用。患者は本来の自己負担分で済む。マイナ保険証を巡る国民や医療現場からの批判をかわしたい考えだ。

 無保険扱いとなる要因は、転職などによる加入保険変更の反映遅れや、カード読み取りや通信のトラブルなど。

 対策案では、マイナ保険証に不具合があり、従来の健康保険証も持参していない場合、医療機関はマイナカード券面の顔写真や生年月日などで本人確認をした上で、患者に3割分などを請求。患者は医療機関に保険の加入情報を申告、国の審査機関がこれを基に確認した上で、患者負担分を除く診療報酬を医療機関に支払う。

 一方、無保険などで加入保険が不明のままとなるケースも想定される。この場合は通常、医療機関に診療報酬が支払われないが、特例的に健康保険組合など各保険者間で負担を分け合い対応する。

 加藤勝信厚労相は20日の記者会見で「保険料を払っている人が3割などの負担をした上で必要な保険診療が受けられ、医療機関には追加的な経済的負担をかけないようにする」と述べていた。