記事一覧

世界の自閉症の推定有病率は1.5%

近年、うつ病やADHDだけでなく、自閉症も増加しています。2009年に報告された米国カリフォルニア州の自閉症有病率を調査した研究によれば、出生1万件当たりの5歳までの累積自閉症診断率は、1990年出生では6.2(0.062%)でしたが、2001年出生では42.5(0.425%)となり、上昇傾向にあるといいます1)。

 2012年に報告された自閉症と広汎性発達障害の系統的レビューでは、世界各国の報告から算出した自閉症スペクトラム障害の有病率は中央値で1万人当たり62例(0.62%)とされています2)。この系統的レビューには、2008年にKawamuraらが報告した愛知県豊田市のデータ3)が組み入れられており、日本は1万人当たり181例(1.81%)と世界の有病率の中央値よりも高くなっています。

 2018年に報告された米国のデータでは、11州で2012年の自閉症有病率を調査したところ、1000人当たり14.5例(1.45%)であったと報告されています4)。現在は、少なくとも先進国での自閉症有病率は1.5%5)と考えられています。

 知的障害、自閉症、ADHDの増加には、児の出生時の父母の高齢化(『第13回 ADHDの実数としての増加とその生物学的機序』参照)以外にも、さまざまな生物学的要因が関与しています。その中の一つとして、今回は自閉症の増加とビスフェノール類の関係について考えてみたいと思います。