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75歳医療保険料に激変緩和 高所得、24年度は73万円 厚労省、批判で方針転換

厚生労働省は12日、75歳以上が入る後期高齢者医療制度を巡り、高所得者が支払う保険料の年間上限額を2024年度に73万円、25年度に80万円へと段階的に引き上げる方針を固めた。与党から「負担が一気に増えることになり、激変緩和策が必要だ」との批判が出て、方針転換した。

 現在は66万円。当初は24年度に80万円へ一気に上げる方針だった。

 中間層の保険料上げも24年度から予定していた。これに関しても、年収200万円程度の人は引き上げを1年間猶予する方向だ。

 近く医療保険改革の結論を出し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する。

 政府は、75歳以上の保険料引き上げで得た資金を「出産育児一時金」の50万円への増額や、現役世代の負担増を抑える制度見直しに活用する。年金や給与の合計が年収約1千万円以上の人が年間上限額引き上げ対象となる。後期高齢者医療制度に入る75歳以上の約1%に当たる。

 政府はこれまで、中間層も含めて保険料が増えるのは全体の約4割と説明してきた。年金収入で年153万円を超える人が対象としていた。年収が200万円強以下の人に関しては、保険料上げを25年度からへと遅らせる。厚労省は、年収200万円なら24年度に年3900円増えるとの試算を9日に示していた。

 現在、出産一時金の原資を主に賄っているのは、現役世代が払う医療保険料。24年度から、後期高齢者医療制度からも拠出する。24年度から一時金全体の7%分を担う予定だったが、当初の2年間は拠出額を減らし、75歳以上の負担増を緩和する方向だ。