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小児の肥満対策には2歳までの正しい食習慣の確立が重要

はじめに
 学校健診で肥満を指摘され、医療機関を受診される子どもへの対応が分からないとおっしゃる先生もいるのではないでしょうか。子どもはクリニックや病院を受診しても、「病識がない」もしくは困っていないので、血圧測定、血液検査、腹部超音波検査で、脂質異常症、脂肪肝や糖尿病など、さらなる異常を検出できたとしても、子ども自身は積極的に肥満に向けた取り組みはしません。それよりも2歳までの食育、家族と地域を巻き込んだ合理的配慮の方が大事だと思います。この論文では、子どもの肥満への戦略が検討されていたため、着目しました。

論文の概要
 この論文では、2歳までの食習慣は8歳になっても変わらないことが示されているため、小児の肥満を予防するための統合的な戦略として、2歳になるまでに健康的な食習慣を身につけさせることが大事であるとされています。また、小児の肥満予防は出生前から始まっており、母親の体重増加は新生児の肥満に影響を及ぼすことが分かっていることから、子どもの肥満予防には妊娠中の体重コントロールが必要であるとされています。

 さらに、①食事回数は肥満予防における重要な決定要因であり、1日2食以下よりも5食など補完が大事であること、②母乳栄養が効果的だが、人工栄養の場合には低タンパク質ミルクを選ぶこと、③2-17歳においては、60分程度の中等度から強度の運動負荷が大事であること、④家庭のみならず学校でもファストフードのようなものを食べさせず、学校に自販機を置かないといった協力が必要であること――などが重要な点として述べられています。

私の視点
 小児の肥満は、1975年から2016年にかけて世界で10倍に増えています。この傾向がこのまま続けば、2050年には16歳未満の子どもの25%以上が肥満になると推定されています。

 子どもの肥満は将来、糖尿病や心血管疾患のリスクとなることが明らかになっていますが、いまだに効果的な戦略は分かっていません。その背景には、子どもは肥満やその合併症の怖さが理解できていないことが挙げられます。夜中まで起きていて、身体も動かさずにゲームやSNSに没頭する生活は、肥満のみならず、子どもの心と身体にとって不健康そのものだと言えます。この論文でも述べられていますが、最近話題となっている「食育」に関して、食事の回数や内容、家族で食卓を囲むことの意義について、親に対してのみならず学校や地域における啓発が大事だと思われます。