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水素細菌

水素細菌の研究開発が活発になっています。
 水素細菌は1000分の2ミリほどの非常に小さい微生物。植物油を与えると、
食べて栄養を蓄え、その栄養分を取り出し特殊なプラスチックに加工すること
ができます。このプラスチックは海水の中では分解されるなど、環境への負荷
が少ないのが特徴です。大手コーヒーチェーン「スターバックス」では100%
植物由来であることと生分解性の要素を併せ持つのは素材の観点で非常に環境
貢献度が高いと評価し、持ち帰り用のスプーンなどの素材に、水素細菌から作
り出した特殊なプラスチックを使っています。
 また、水素細菌は、二酸化炭素も餌にすることができます。水素をエネル
ギー源に二酸化炭素を有機物に変換するため、二酸化炭素削減に貢献する一方、
食品やプラスチック製品、バイオ燃料などをつくることができる一石二鳥の細
菌です。
 水素細菌は1960年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)がたんぱく質を宇宙でつ
くることができないか研究に取り組むなど、昔からその可能性は知られていま
したが、二酸化炭素を効率的に吸収させる技術が十分に確立されていなかった
ことなどから、研究開発が大きく進むことはありませんでした。しかし、深刻
な地球温暖化と待ったなしの対策が求められる時代になり、バイオテクノロ
ジーの技術も向上しています。
 アメリカや中国では、この分野で大規模な投資が行われ開発競争が激しく
なっています。日本でも政府は今年3月、水素細菌など微生物の研究開発に積
極的な資金支援を行う方針を表明。大学などの研究機関と民間企業との連携を
推し進めようとしています。4月には、萩生田経済産業大臣、岸田総理大臣が、
最先端の研究を行っている神戸大学の研究施設を視察し、バイオテクノロジー
に力を注ぐ姿勢を鮮明にしました。
 脱炭素社会の実現に向けて二酸化炭素の排出の低減が大きな課題になってい
る中、さらなる技術の向上が期待されます。