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歯の神経再生で幹細胞保存 エア・ウォーターが新事業

産業ガス大手のエア・ウォーターは2日、歯の神経を再生させるための幹細胞を長期間保存する新事業「歯髄幹細胞バンク事業」を開始したと発表した。虫歯などで歯の神経を抜いた際に、あらかじめ保存していた幹細胞を移植する。これにより歯の神経が再生し、かむ感覚を取り戻せる。

 親知らずや乳歯など、不要となった歯から歯髄を採取する。歯髄から幹細胞を培養し、冷凍保存して将来の治療に備える。幹細胞を移植後、神経は約1カ月、象牙質は約半年から1年で再生する。最後に歯の表面のエナメル質を詰め物などで整える。

 費用は、歯髄の採取と幹細胞の培養、最初の10年の保管料で計33万円。保管は10年ごとの更新で、更新料は6万6千円となる。幹細胞を移植する際はさらに1本約22万~44万円かかる。保険は適用されない。

 エア・ウォーターが設立した子会社のアエラスバイオ(神戸市)が歯科医院と連携し、事業展開する。2023年度の事業の売上高は10億円を見込む。

 広報担当者は「既存のインプラントなどの治療法とは異なり歯が残っていなければできない」としながらも「自分の歯を残したまま治療できる」と利点を強調した。「歯科医院にとって治療の選択肢が広げられる」とも述べた。