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歯髄が持つ自己治癒力の仕組みを解明

新潟大学医歯学総合病院の大倉直人 助教らの研究グループは、歯髄が持つ自己治癒力のメカニズムを解明した。

 歯髄の治癒時に発生する生体内物質をコントロールすることで、より早い虫歯の治癒を促せる可能性があることを英国の科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。

 歯髄の傷の治癒期に、炎症や痛みに関与する生体内物質プロスタグランジンE2が発生するが、これまで未解明だったその輸送経路と新たな役割を明らかにした。

 歯髄組織内で産出されたプロスタグランジンE2が、プロスタグランジントランスポーター(PGT)と呼ばれる輸送タンパクによって細胞の外に運ばれ、象牙芽細胞や神経、血管にある受容体(EP2)と結合することで、歯の象牙質の修復や神経保護、血管の新生に大きく寄与していることを突き止めた。

 今後新しい治療法の開発が期待される。

 (新潟日報モア 9月20日)