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日本人の死因第3位 肺炎の最新予防法 名医とつながる!たけしの家庭の医学

日本人の死因 第3位 【肺炎】の最新予防法
 肺の病は生きることに直結する場合が多く、健康長寿のためには肺の機能を正常に保つことが大切。食べた時にむせることが多い場合は、誤嚥性肺炎の可能性がある。

急増する誤嚥性肺炎の最新予防法を名医が発見
 誤嚥性肺炎は日本人の死因第3位に浮上してきた肺炎の一種。肺炎患者のうち60代ではおよそ半分、70代以上では7割以上が誤嚥性肺炎といわれている。誤嚥性肺炎を予防するための重要ワードは「飲み込み力アップ物質」。

急増する誤嚥性肺炎を防ぐ飲み込み力アップ物質
 正常な人が液体を飲む瞬間、液体は全て食道へと流れるが飲み込み力が衰えた人の場合は液体の一部が食道ではなく気管へと侵入するため咳き込むことやむせることが多くなる。「誤嚥」とは飲み込む力が低下し食べ物などが気管に入ること。誤嚥を繰り返すうちに肺に侵入した細菌が繁殖することにより「誤嚥性肺炎」を引き起こす。

 細菌の研究により、飲み込む力の低下を引き起こす原因は脳にまつわるある病にあった。さらにその病は中高年に多く発症し65歳以上の4人に1人が起こしている病でその病を発症しても症状が全くない為気付いていない人がほとんどだという。しかし最新研究によれば、要介護患者の飲み込む力アップ物質の分泌を増やしたところ飲み込み力が2~4倍も活性化し正常レベルに回復した。

 秋野暢子は「サプリが飲みづらくなった」、中山秀征は「歌っている時にむせることがある」という。ある調査では、誤嚥性肺炎は50代から増加し始め、肺炎患者の20%を占めている。

 東北大学の佐々木英忠先生は30年以上、老化が関わる病の研究・治療を行い日本老年医学会の理事長も務めた加齢と病の関係のエキスパートであり、誤嚥性肺炎の予防や治療法の研究に心血を注いでいる。誤嚥性肺炎は6年前に脳卒中を抜き、日本人の死因第3位となった。毎年10万人以上が誤嚥性肺炎で死亡している。肺炎の多くは誤嚥性肺炎。誤嚥性肺炎は薬で治せるが、飲み込み力低下を治す方法がないため再発が多く重症化しやすいという。飲み込み力アップ物質の正式名称は「サブスタンスP」。全身の様々な神経にある神経伝達物質で「痛み」等の情報を脳に伝えている。サブスタンスPが多い人は飲み込み力が正常で少ない人は飲み込み力が低下しているという。

 誤嚥性肺炎を防ぐカギ「サブスタンスP」は、食物が喉の奥に来た時に刺激を感知し脳や脊髄に信号を送って気道の蓋をすばやく閉め、食べ物を食道へ流している。サブスタンスPが減った場合、食物が来てもすぐ感知することができず気道の蓋をすぐに閉められなくなる。すると食べ物の一部が気道に入り誤嚥につながる。このサブスタンスPが減ってしまう大きな原因として、ある脳の病の存在が分かってきている。

飲み込み力低下から肺炎を招く中高年に多い脳の病とは?
 誤嚥性肺炎を招く飲み込み力の低下。中高年の4人に1人が患っているある脳の病が関係していることが分かった。

 飲み込み力アップ物質のサブスタンスPを減らしてしまう脳の病とは何なのか。まず、飲み込み力が衰えている人は本当に脳の病になっているのか検証した。60~70代の男女9名に普通の弁当を食べてもらった。食事の様子を見てみるとほとんどの人が慎重に弁当を食べ何人かが誤嚥をしていた。30秒間に唾液を何回飲み込めるかをチェック。人差し指と中指で喉仏を挟むようにあてて唾液を飲み込み、喉仏が人差し指を越えて元に戻るまでを1回として30秒間の回数をチェックする。6回以上であればクリア、5回以下だと要注意状態、2回以下は危険レベルとなる。クリアできなかった場合、ある脳の病が原因で飲み込み力が低下している可能性がある。

 ミニトマトが喉に詰まりそうになった原田さんは4回、要注意状態だった。ご飯を少量ずつ食べていた篠田さんは2回、誤嚥を起こしやすい危険レベルだった。9人中5人がクリアできず飲み込み力が衰えていた。

 脳ドックを行っているクリニックで脳の状態を調べた。飲み込み力が正常な4人の脳は全員が正常、飲み込み力が衰えた5人のうち3人にある病が確認された。

 飲み込み力が低下した3人に確認されたある脳の病とは「脳梗塞」だった。

飲み込み力低下から肺炎を招く症状のない小さな脳梗塞
 飲み込み力低下を招く症状のない小さな脳梗塞。

 脳梗塞とは偏った生活習慣でできた血栓が脳の血管を塞ぐ病、脳を壊死させ最悪の場合は死に至る。しかし今回の脳梗塞は命に関わる重大なものではなく、脳の血管の中でも特に細い血管が塞がれて起こったもの。壊死はごく小さい部分で自覚症状はほとんどない。この場合は無症候性脳梗塞と呼ばれる。しかし、最近の研究では無症候性脳梗塞が誤嚥性肺炎を引き起こす飲み込み力低下の原因となっていることが分かってきた。

 無症候性脳梗塞とは細い血管で起こる脳梗塞。細い血管は脳の中心部にあり、脳の中心部はサブスタンスPの材料が作られている場所のため脳の中心部で小さな梗塞ができるとサブスタンスPの材料が減少し、飲み込み力低下で誤嚥を起こしやすくなる。しかし佐々木先生の研究ではサブスタンスPを増やす効果が期待できる食材が分かってきたという。

飲み込み力を上げて肺炎を防ぐサブスタンスPを増やす食材とは?
 サブスタンスPを増やす食材でどれだけ飲み込み力がアップするのか、飲み込み力が低下していた原田洋子さんの協力を得て検証した。原田さんの脳からは無症候性脳梗塞も見つかっている。原田さんに喉のレントゲン検査を受けてもらったところ、食べ物の一部が蓋の上に残ってしまうことが分かった。蓋の下がる勢いが弱いため、全てを食道へと運びきれていなかった。

【検証】唐辛子&黒コショウで飲み込み力を上げて肺炎を防ぐ
 サブスタンスPを増やすにはどんなものを食べればいいのか。佐々木先生によると「カプサイシン」を摂取すると良いという。カプサイシンは、唐辛子などに含まれる辛味成分。最新研究によると飲み込み力が落ちた人にカプサイシンを1日4.5マイクログラム摂取してもらったところ、1ヶ月で飲み込み力が約2倍に活性化したという。カプサイシンの刺激はサブスタンスPが感知するため、カプサイシンの刺激を増やすことでサブスタンスPが活性化して増加する。脳への神経伝達がスムーズになり、飲み込み力もアップする。黒コショウでも同様の結果が得られている。

 カプサイシンの入った唐辛子と黒コショウを5日間、原田さんに毎食摂取してもらう。摂取量はお好みの分量でOK。原田さんのサブスタンスPの値は262。検証を初めてから3日目、これまで食事中に何度も咳き込むことがあった原田さんだったが一度も咳き込むことなく食事を終えていた。検証を終え、原田さんの血液中のサブスタンスPの値を測定。検証前の262から326へと大幅に増加していた。さらに喉のレントゲンで飲み込み力もチェックしたところ、検証後は食べ物を全て食道へと流せていた。