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たん吸引や栄養注入など必要…医療的ケア児受け入れ、8県の保育所でゼロ

たんの吸引や栄養注入などが日常的に必要な医療的ケア児の保育所での受け入れ状況について、厚生労働省が初の実態調査結果をまとめた。

 全国260か所に303人が通っていたが、8県ではゼロだった。受け入れ促進のため、同省は、ケアを担当する看護師を派遣するモデル事業を今年度始める。

 調査は昨年7月、全国の認可保育所と認定こども園を対象に実施。2015年度の受け入れ人数を調べた。受け入れの報告があった303人を都道府県別にみると、大阪(49人)、滋賀(35人)、千葉(23人)、東京(21人)の順で多かった。青森、福島、山梨、岡山、山口、徳島、佐賀、宮崎の各県は1人も受け入れていなかった。

 最多の大阪府では、大阪市など少なくとも8市町が、看護師の配置費用を補助するなどしている。同省も今年度のモデル事業で、看護師の派遣や保育士の研修受講でかかる費用などを補助し、体制作りを進める。

 幼稚園については調査が行われておらず、全体の状況はわかっていない。

 医療的ケア児の在宅医療に取り組む前田浩利・医療法人財団はるたか会理事長は、「保育所の利用を望む親子は各地にいる。看護師の配置だけでなく、緊急時に指示を出せる在宅診療医らと連携する仕組み作りも重要だ」と指摘している。