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水素社会の幕開け

今年の1月、スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会にて、トヨタ自
動車やホンダ、独ダイムラーなど世界の自動車やエネルギーなど大手13社は、
燃料電池車(FCV)などで水素エネルギーの利用を促す新団体「水素カウン
シル」を発足すると発表しました。
 水素を使う発電は二酸化炭素(CO2)を出さず、環境への負荷が低い次世代
エネルギーとして注目されており、水素と酸素を反応させて取り出した電気を
動力源にして走るFCVは走行時に水しか出さないため「究極のエコカー」と
呼ばれています。世界的な環境規制の高まりから各社ともFCV開発に乗り出
していて、トヨタ自動車が2014年12月に世界で初めて「MIRAI」を発売した他、
ホンダも2016年3月に「クラリティ フューエル セル」の市販を開始しました。
  
 しかし、FCVには、
・水素の製造過程で二酸化炭素が排出される。
・燃料電池の製造コストが高いため、車両価格が高くなる。
・燃料を充填する水素ステーションの普及が遅れている。
・燃料となる水素そのものが高い。
等のデメリットがあります。「水素カウンシル」はこれらのデメリットを解消
するため、利害が一致する大手企業が連携し、普及を促すための活動を強化す
ることを目的としています。
 
 そんな中、米国・カリフォルニア州では水素を自動車の燃料として供給する
インフラ整備が進んでいます。
 例えば、カリフォルニア州では、業界団体が水素ステーションをロサンゼル
ス市内に集中させるという計画で整備を進めています。カリフォルニア州では、
水素ステーションの約25ヵ所の大半がロサンゼルス市内にあり、局所的ではあ
りますが、インフラ整備がFCV普及を促し、それがインフラ整備を加速させ
るという好循環が起きています。
 また、日本の水素価格が1キログラム当たり約1,000円であるのに対し、カリ
フォルニア州では約1,900円と日本の約2倍です。これはステーションの運営会社
が利益を得やすい水準になっているためです。
 さらに、カリフォルニア州は日本よりも安全基準の規制が緩く、水素ステー
ションの建設費用は日本の半分程度の2億~3億円です。
 これらのように、米国は日本よりFCVの普及を進める条件が整っています。

 安倍首相は今年の施政方針演説で、「水素エネルギーは、エネルギー安全保
障と温暖化対策の切り札です。これまでの規制改革により、ここ日本で、未来
の水素社会がいよいよ幕を開けます。」と語っています。日本が水素社会の分
野で世界のリーダーシップを取れる存在になることを期待します。