記事一覧

多職種連携し口腔管理、室蘭・日鋼記念病院が「センター」設立

日鋼記念病院(室蘭市新富町、柳谷晶仁院長)は、患者の口の中の衛生状態を良好に保つ治療や指導を専門的に行う「口腔(こうくう)管理センター」を設立した。胆振では初の設立。「周術期口腔機能管理」「専門的口腔ケア」「終末期の生活の質(QOL)の維持」などを目的に、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士ら多職種が連携し、専門的に支援する方針だ。

 食べる、話すなど、人間の根幹を担う「口(口腔)の機能」が低下すると、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルだけでなく、糖尿病をはじめ、心臓病などの循環器疾患、誤嚥(ごえん)性肺炎などの呼吸器疾患などの病気にもつながる可能性が、近年の研究などで明らかになっている。

 同病院では、診療報酬改定による「周術期口腔機能管理料」新設に合わせて、2012年度(平成24年度)から、「周術期口腔機能管理」をスタート。手術前後に歯石除去やう歯(虫歯)の治療、歯磨き指導などを行うことで、手術創への感染や誤嚥性肺炎の予防にもつながり、「入院期間の短縮や抗生剤使用量の減少にもつながっている」(同病院)という。

 同病院でも、周術期に口腔管理を受けた患者は、受けていない患者と比べて(1)術後1週間以内の発熱無しで6・0%減(2)術後2日目以降の抗菌薬投与日数平均が1・02日減―と、一定の効果が表れている。

 医科と歯科の連携によるがん治療の質の向上を目指して、口腔管理を進めてきた同病院は、同センターの設立を通じて、口腔管理の重要性と効果を内外にPRし、「質の高い医療の実践」「専門性の確立」「環境整備」を図るなど、口腔管理をさらに推進する考えだ。

 センター長の加藤卓己口腔外科科長は、多職種連携による効率良い歯科受診システムの構築、栄養サポートチームや緩和ケアチームとの連携強化による終末期への対応―などを通じて、「西胆振地域の中で、口腔管理への意識を高め、センターが中心を担っていけるように取り組みたい」などと話している。