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特定の口内細菌が食道癌予後に関連

熊本大学の研究グループが日本人食道癌患者を対象とした検討で局所におけるフソバクテリウム属(Fusobacterium nucleatum)由来のDNA陽性患者では、同陰性患者に比べ、同癌による死亡までの期間が早まるとの結果を明らかにした。米国癌学会(AACR)が10月21日、Clinical Cancer Researchの掲載論文を紹介した。

 先行研究では腸内細菌叢が健康状態や各種疾患の発症・進展に関連することが報告されている。研究グループは食道癌と口内細菌叢の関連を検討した。2005年4月から2013年6月に同大学病院で食道癌切除術を受けた連続症例325例の腫瘍組織におけるフソバクテリウム属DNAを検査した。

 2016年1月31日までの食道癌による死亡患者数は75例。全対象患者におけるフソバクテリウム属DNA陽性の割合は23%。同陽性例の生存期間は陰性例に比べ短縮していた。食道癌患者の生存に関連しうる年齢、喫煙、病期を調整した解析でも、同陽性例は陰性例に比べ、食道癌による死亡が有意に増加していた。

 研究グループは単施設研究などの限界があり、今後より大規模な検討が必要としながらも、フソバクテリウム属細菌が食道癌の治療ターゲットとなる可能性があると述べている。