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歯19本以下の高齢者に体重減リスク 浜松医科大

浜松医科大(浜松市東区)健康社会医学講座の中村美詠子准教授らはこのほど、歯の本数が19本以下の高齢者は20本以上ある人に比べ、体重減少や痩せた状態になりやすいとの報告書をまとめた。

 体重減少や痩せた状態は死亡や要介護状態に陥る危険性が高まることで知られている。ただ、歯が19本以下でも毎日、野菜や果物を摂取している女性は痩せるリスクは高まらないとも結論付けた。中村准教授は「要介護状態にならないため、適切な口腔(こうくう)ケアや十分な栄養の摂取が大切」としている。

 中村准教授は、共同研究グループの「日本老年学的評価研究」の2010年調査データを活用し、自立的に生活している全国31市町村の65歳以上男女9万6794人を調べた。残存歯数が20本以上と19本以下とで、体重減少や痩せた状態の有無を比較し、「肉・魚」、「野菜・果物」の食事習慣との関連性を検討した。この関連性を網羅的に調べた研究は初めてという。

 調査の結果、残存歯19本以下の高齢者が全体の約3分の2に上った。直近の半年間に「2、3キロの体重減少があった」とする高齢者は「19本以下」が多く、リスクは「20本以上」より1・2倍高かった。

 体重減少の無かった約7万9千人のうち、体格指数(BMI)18・5未満の痩せた人を調べた結果、残存歯19本以下の男性が痩せた状態であるリスクは約1・5倍だった。女性は19本以下でも痩せのリスクはなかったが、19本以下で「果物・野菜を毎日摂取していない」と回答した女性に絞った場合、痩せているリスクが1・2倍に上ったという。

 中村准教授は「歯が少ない方でもしっかり食事をとっていれば痩せるリスクは抑えられる。食材の切り方や調理法の工夫が大切」と栄養摂取への心掛けの重要性を指摘した。