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高齢者の孤食にうつの危険 独居男性は2・7倍

独りで食事をすることが多い「孤食」の高齢者は、一緒に食事をする人がいる高齢者に比べてうつになりやすいとの研究結果を、東京大の谷友香子(たに・ゆかこ)研究員(栄養疫学)らの研究チームが27日までに発表した。独り暮らしの場合、女性の孤食はうつの可能性が1・4倍、男性は2・7倍にもなった。

 谷さんは「友人や近隣の人を巻き込んで食事することを勧めたり、地域で会食サービスを行ったりすることが、予防に有効ではないか」と話している。

 研究には、2010年の時点で気分が落ち込むなどのうつ傾向がなく、要介護認定を受けていない全国の65歳以上の約3万7千人が協力。独り暮らしの人は男性で85%、女性で79%が孤食だった。誰かと同居している人の孤食は男性3%、女性6%と少なかった。

 3年後には約4400人が「高齢者用うつ尺度(GDS)」という評価法でうつ傾向と判定された。家族形態と性別で解析すると、独り暮らしの男性は孤食だとうつになる可能性が2・7倍、女性は独り暮らしでも誰かと暮らしていても、約1・4倍となった。

 誰かと同居している男性では、独りで食べるのと人と一緒に食べるのとではっきりした差はなかった。