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「ディスラプティブ・イノベーション」は、国際医療福祉大学でも実現を目指す。

国際医療福祉大学がある栃木県には、医療機器産業が多い。毎年2月に、30社以上の企業に来てもらって、大学の教員や病院の医師が、シーズを発表してもらう機会を設けています。そこでマッチングが起きてくるのです。

 最近の事例は、嚥下障害のある患者さんが使うスプーン。嚥下障害の患者さんが食べられる1回の量は、約3g。言語聴覚科の教員が、3g以内であれば青いランプ、超えると赤いランプが付くスプーンを作った。それを企業が既に製品化しています。大学には、マッチングや特許取得の支援をするため、医工産学連携推進室も設置しました。

 それからやはり患者目線で診療ができる医師、それから国際的に通用する医師を養成したいという課題もあります。

 そのためには、医療技術や知識だけでなく、倫理教育、教養教育を充実させないといけない。最近聞いたのは、「心医」という言葉。有名大学の教授であろうと、地域の医師であろうと、「患者さんの心を癒す」。それが「心医」。

 調べてみたところ、東京女子医科大学の教授などをされ、心臓外科の世界的権威だった榊原仟先生は、「大医、中医、小医」という言葉を使っていた。「大医」は病気も患者の心も癒し、治せる。「中医」は病気は治せるけれど、患者の心は癒やせない。「小医」は病気も心も癒やせない。既に18歳まで教育を受けてきた学生たちに、教育の中で「医の心」を教えていくのは簡単なことではないですが、やはり何らかの形でやらないといけない。その中で、先輩が経験談を語って行くのは大事なことです。