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神奈川歯大、付属病院を移転 17年開院目指す 「口腔ケアの拠点に

神奈川歯科大学(横須賀市稲岡町)は、付属病院の移転新築のため、国道16号に面する建設用地(同市小川町)で、旧公営駐車場の解体工事に着手した。高齢者のための訪問歯科診療科の増設や、災害時の身元確認のための情報センター機能を持たせるなど基幹病院としての役割を強化。院内のカフェテリアでは障害者や児童養護施設退所者を雇用する方針で、鹿島勇理事長は「地域に根ざし、社会的弱者に優しい口腔(こうくう)ケアの拠点にしたい」と話している。【田中義宏】

 病院は建設から約40年が経過し、老朽化や耐震性の問題があることから、移転新築を計画。病院近くの小川町駐車場(約3000平方メートル)を所有者の同市外郭団体「シティサポートよこすか」から約7億7500万円で購入した。2017年9月の開院を目指す。

 計画では、新病院は鉄筋コンクリート12階建て(延べ1万5700平方メートル)。1階に高齢者・障害者専門の歯科診療科、障害者や養護施設退所者を雇用するカフェテリアや売店などを配置する。鹿島理事長は「カフェテリアは週6日間営業で障害者を半日ずつ計12人雇用し、作業所などで作る菓子類も販売する。市内の児童養護施設を退所した若者を雇い、働きながらの就学も支援したい」と話す。

 そのほか、2階=一般診療科▽3階=高度先進統合診療科、小手術室▽4階=口腔外科や臨床・病理検査室▽5階=病棟(25床)、手術室▽6階=技工士・医員・学生の技工室▽7階以上=臨床研修、レストランや食堂――などをそれぞれ設置する。

 地震による津波被害を想定し、病棟や磁気共鳴画像化装置(MRI)などの重要医療機器は上階に置き、浸水の恐れがある地下階は建設しない。建物全体への被害を抑えるため、1階はパーティションを多用するなど、津波への抵抗が少ない構造にするという。

 東日本大震災の際に歯科のカルテが身元確認に役立った経験から、患者のX線写真などの情報をストックし、災害時の確認作業に活用する。