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抜いた歯や脂肪、再生医療の原料に? 有識者会議が報告

手術などで取り出した歯や脂肪などの細胞を加工して他人の治療に使う「再生医療製品」について、経済産業省の有識者会議は19日、原料となる細胞を入手する際の課題や対応策をまとめた。これを受け、経産省は製品開発するバイオ企業の支援を進め、再生医療製品の普及を目指す。

 昨年11月に施行された医薬品医療機器法(旧薬事法)では、再生医療製品という分野を新たに作り、条件付きで早期に承認する仕組みが出来た。この日取りまとられた報告書によると、今後は抜いた親知らずの細胞を培養して脊髄(せきずい)損傷を治療したり、脂肪吸引で集めた細胞を加工して心筋梗塞(こうそく)や肝硬変の手術に使ったりする再生医療製品が開発される可能性があるという。

 製品の原料は、患者本人ではなく他人の細胞を使えば、事前に準備できるためすぐに治療でき、費用も安く済む。一方で、拒絶反応のほか、提供者の同意取得や個人情報の保護など実務的な課題もあり、提供の手続きを仲介する機関が必要になってくるという。

 経産省はこの日、他人の細胞を再生医療製品に使うための工程や品質について検討する企業への支援策を公表。担当者は「再生医療製品が根付くように応援していきたい」とした。(合田禄)