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歯医者さんの隣に保育園を開設 福岡県大野城市、乳幼児ケアの充実目指し

歯医者さんのお隣は保育園―。福岡県大野城市白木原のはなだ歯科クリニックが6月1日から、医院に隣接して「キッズガーデン ル・タンデ保育園」を開設する。乳幼児に必要な食事や呼吸指導を行いやすくすると同時に、クリニックに勤める歯科衛生士らの育児を支えるのが狙いだ。歯科医院が保育園を隣接して開設するのは全国的にも珍しいという。

 はなだ歯科クリニックでは、30人近いクリニックのスタッフのうち理事長以外は全員女性。出産を迎えた女性の歯科衛生士が退職すると、新たな人材を見つけるのに苦労してきた。産前産後休暇や育児休業から復帰し、子育てしながら安心して働ける職場にしたいという思いがあった。

 同時に、これまでに3千人を超える歯の矯正に携わった花田真也理事長(46)は、かねて「乳幼児の頃から食べ方を指導したい」と考えていた。矯正が必要になる小学生以上の患者は、かみ方や飲み込み方が不自然だったり、鼻ではなく口で呼吸をしていたりする子が多いからだ。だが歯が生えそろわない子を受診させる家庭は少なく、乳幼児に関わる糸口を探していた。

 そこで思い付いたのが事業所内保育所の開設だった。事業所内保育所は、昨年の規制緩和によって従業員に限らず、保護者が雇用保険に入っている子どもであれば受け入れることが可能になった。当面は従業員と患者が利用できる保育園とするが、将来的には患者以外も利用できるよう体制を整えたいという。

 保育園では、口呼吸を鼻呼吸に変える「あいうべ体操」((1)「あー」と口を大きく開く(2)「いー」と口を大きく横に広げる(3)「うー」と口を強く前に突き出す(4)「ベー」と舌を突き出す)や、子どもの月齢・年齢別の保護者教室を実施していく予定だ。歯の成長に合った離乳食の進め方や食べさせ方もアドバイスする。

 花田理事長は「母乳や離乳食の段階で、歯並びに影響を与える。赤ちゃんから高齢者まで、生涯にわたって関われる歯科にしたい」と話している。