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歯周病の男性は心筋梗塞のリスクが約2倍。東京大学による日本初の縦断研究で明らかに。

東京大学大学院医学系研究科の野口都美客員研究員(研究当時は大学院生)と豊川智之准教授、小林康毅教授らの研究グループは産業保健現場の医師らと共同で、金融保険系企業の36~59歳の男性労働者3081人を対象に5年間の追跡調査を実施。歯肉出血、歯のぐらつき、口臭からなる歯周病スコアや他の指標について、多変量ロジスティック解析で心筋梗塞発症リスクを分析した。その結果、歯周病を強く疑われる男性はそうでない男性に比べ、心筋梗塞の発症が約2倍多いことが明らかになった。歯周病が心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こすメカニズムは、歯周病細菌とその細菌が産生する要素、または歯周病により産生される炎症物質等が、歯肉の毛細血管を通じて全身の血管や心臓に運ばれ、動脈硬化や血管の閉塞をもたらすことが考えられている。この研究結果から、虚血性心疾患の予防に口腔ケアが重要ということが示唆された。あらためて、適切なセルフケアや歯科医院でのメンテナンスで歯周病の予防を推進させていかなければならない。