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医療保険、広く負担増 高齢者、現役世代共に 改革骨子案を提示

厚生労働省は8日、医療保険制度改革の骨子案を自民党の社会保障関係の合同会議に提示した。高齢化で増大を続ける医療費を賄うため、高齢者、現役世代共に広く負担を分かち合う内容だ。市町村が運営している国民健康保険(国保)は2018年度から都道府県に移管して規模を大きくし、財政基盤の安定を目指す。

 厚労省は月内に改革案をまとめ、通常国会に関連法案を提出する。

 75歳以上の保険料を最大9割軽減している特例措置は17年度から原則廃止、縮小する。紹介状なしで大病院を受診した患者には16年度から、通常の医療費とは別に一定額の窓口負担を求める。5千円を軸に調整する。

 75歳以上の医療費に現役世代が拠出する支援金の計算方法では、所得に応じて負担額を決める「総報酬割」を17年度から全面導入する。大企業社員が入る健康保険組合や公務員の共済組合の負担が増え、国費が一部節約できるため、これを国保などに投入する考えだ。

 国保の移管は「18年度から都道府県が財政運営の責任主体となる」と明記。構造的な赤字に対応するため、15年度から公費投入を拡充することも打ち出した。移管先となる都道府県側は、全国知事会が8日、財政問題は未解決だとの意見書をまとめ、改善に向けた協議の継続を国に求めた。

 合同会議では、加入者に身近な市町村から都道府県に財政責任が移ることで、保険料収納率に影響が出ないかを懸念する声も出た。

 会社員の健康保険料を計算するために使う「標準報酬月額」の上限は現在の121万円から139万円に引き上げ、高所得者の保険料を増やす。

 個人が予防や健康づくりに取り組めば現金やポイントを付与する事業も推進する。保険診療と保険外の自由診療を併用する患者申出療養(かんじゃもうしでりょうよう)(仮称)は16年度から始める。