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ラジオ体操第3「メタボに効果」と再び脚光

 「ラジオ体操第3」を復活させる試みが始まっている。戦後間もなく放送され、動きが複雑すぎて1年半で中止されたが、そのスピードとダイナミックさに大学教授が「理想的な有酸素運動」と注目し、実演DVDも製作した。滋賀県東近江市が市民の健康維持に役立てる計画を進めている。

 時間は3分15秒。素早い足踏みでスタートし、両腕をぐるぐる回しながら横に体を反らせたり、屈伸や上体反らしと腕回しを組み合わせたりと、複雑で素早い動きが間断なく続く。終盤には両腕両脚を思い切り広げるジャンプもある。

 全国ラジオ体操連盟などによると、戦後のラジオ体操は1946年4月、「新ラジオ体操」としてNHKで放送が始まった。当時は「いつでも、どこでも、誰でも」できる第1、青壮年向けに強度を高めた第2、さらに運動機能を高めるための第3もあった。

 しかし、いずれも音声のみでは十分に動き方が伝わらないなどとして、翌47年に放送は中止。51-52年、第1と第2は再構成されて再開し、今に至るが、特に動きが激しく複雑だった第3は外された。

 着目したのは龍谷大の安西将也教授(公衆衛生学)。メタボなどの生活習慣病やうつ病の予防に適した運動を探していて、昨夏、インターネットなどで「幻の体操」と話題になっていることを知った。

 研究室の学生らで試したところ、心拍数は無理なく毎分130回前後に高まり、後半には150回に。理想的な有酸素運動で、体脂肪を効果的に燃焼させられるとのデータが得られた。

 安西教授は動画共有サイト「ユーチューブ」で見つけた当時のピアノ伴奏の音源から楽譜を作成。動作を描いたイラストなどを集め、学生が実演するDVDも作った。「ジョギングやジャズダンスは続かないという人も多い。『国民的な体操の番外編』という面白さ、3分ちょっとの手軽さもいい」と期待する。

 さらに、幅広い年代での効果や、うつ状態の改善につながるかどうかの検証も計画。東近江市は、別のテーマの講演に安西教授を招いた際にそれを知り、協力を申し出た。

 昨秋から市の体験教室で指導を始め、「少しきついが、効き目がありそう。老人会の仲間にも広めたい」(64歳女性)など、反応は上々という。