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北九州で歯科医刺され重傷 暴力団視野に捜査

26日午前8時半ごろ、北九州市小倉北区真鶴1丁目の駐車場で、同市若松区の男性歯科医(29)が血を流しているのをタクシー運転手が見つけ、110番した。男性は脚や腹などを刺され重傷だが、命に別条はない。福岡県警は殺人未遂容疑で捜査を始めた。

 捜査関係者によると、男性の親族2人が16年前と昨年に市内で射殺され、うち1人の事件では北九州を拠点とする特定危険指定暴力団「工藤会」系組長が摘発され実刑判決を受けている。県警は約2カ月前に男性に対し警戒するよう注意を呼び掛けており、暴力団関係者を中心に捜査を進めている。

 県警によると、男性は勤務先の九州歯科大付属病院に向かうため、近くの駐車場で運転していた乗用車を降りた際、刃物のようなもので刺された。犯人はバイクで逃走したとみられる。2人組でヘルメットをかぶっていたとの目撃情報がある。

 捜査関係者によると、1998年2月に、男性の祖父で港湾工事に影響力のあった梶原国弘(かじわら・くにひろ)さん=当時(70)=が市内の繁華街で射殺され、その後、工藤会系組長2人が殺人罪で無期懲役などの実刑判決を受けた。

 昨年12月には、梶原さんの弟で北九州市漁協組合長の上野忠義(うえの・ただよし)さん=当時(70)=が、市内の自宅近くで何者かに銃撃され死亡した。上野さんも市内の海岸で市が進めるごみ処理場建設計画で漁業補償交渉を担当。今回被害に遭った男性の父親は、同市若松区内の漁協幹部を務めているという。

 現場は住宅や飲食店が並ぶ一角。捜査員は犯人が逃走の際に凶器を捨てた可能性もあるとみて周辺の川を捜索した。近くに住む80代の男性は「静かな所で、事件が起きたことがない。気持ちが悪い」と不安げに話した。