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AED使えば救える命がある 街に10年、使用まだ3%

心臓が突然止まった時に使う自動体外式除細動器(AED)を一般の人が扱えるようになって10年。全国の施設に設置されたものの、心停止で倒れるのが目撃された人のうち、実際に使われたのは3・7%(2012年)にとどまる。医師らでつくる実行委員会が、使用率5%をめざして啓発活動を始めた。

 AEDは、04年7月に厚生労働省の通知によって医療従事者以外でも使えるようになった。これまで一般用に30万台が販売され、全国の駅やスポーツ施設などに設置されている。

 使用を呼びかけているのは「減らせ突然死~使おうAED~」実行委員会。実行委や総務省消防庁によると、12年に心臓が原因の心肺停止で救急搬送されたのは約7万3千人。そのうち救急隊の到着前に一般の人に目撃されていたのは2万3797人で、AEDが使用されたのは881人だった。881人の約4割に当たる365人が少なくとも1カ月間生存し、317人は社会復帰したという。

 実行委は「AEDの使用率が5%になり、その半数を救命できれば、さらに年間230人を救える」と説明する。

 AEDが使われない理由の一つに、一般の人には電気ショックが必要かどうかを判断できないことがある。だが、AEDには、人間に代わって自動で判断し、音声で指示してくれる機能がある。また、設置場所がわからないことも使用を妨げている。実行委は、緊急時でも設置場所がすぐにわかるようにするため、看板で目立つようにするなどの工夫をAED管理者に求めている。

 実行委は今後、シンポジウムやホームページ(http://aed-project.jp/)を通じてAEDの使用を訴える。三田村秀雄委員長は「心停止では、電気ショックが1分遅れると1割ずつ生存率が下がると言われる。救急隊を待っている時間はないため、AEDを積極的に使ってほしい」と話す。