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「3・11の記録」を読み返す

2012年に日本歯科医師会が編纂、中央公論社より出版された「食べる
-生きる力を支える」3冊組の第3巻 「3・11の記録」をご存知ですか?
この本の冒頭、2011年、3月11日、 後に東日本大震災と名付けられた
大災害に際して、被災3県で歯科医が災害支援活動を行ったが、当初、
その任務は医療援助ではなく多くの亡くなられた方の身元を明らかに
する検視であったことから始まる。
特に前半は「生活の医療」のジャーナリスト、秋元秀俊氏の取材、執
筆による派遣歯科医師の活動記録である。普段は死と縁遠い開業歯科
医師が派遣先の過酷な状況下で自衛隊、警察などと協力しながら検視
を進めて行く姿、その奮闘が読み手にもひしひしと伝わってくる。
後半はわずか10日後より開始された、仮設診療所や移動診療所による
歯科医療援助活動の記録である。歯科医師の果たす役割、果たせる役
割、その倫理学的背景にも言及がされている。歯科医療を担う一人と
して、読後、様々なことを考えさせられた。
この機会に既読の方も再度、未読の方は是非ご一読されたい。