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【熊本】フッ化物うがい急増へ 2014年度実施率7割超

熊本県は4日、虫歯予防に効果があるとされるフッ化物によるうがいの県内小中学校での実施率(政令市の熊本市除く)が、2014年度に全国トップクラスの72・1%に達する見通しを明らかにした。13年度の実施率は12・9%。

 フッ化ナトリウム粉末を水に溶かしてうがいすると、歯の再石灰化を促し虫歯を防ぐとして、県が10年に「県歯及び口腔の健康づくり推進条例」で推進を明記。熊本市を除く市町村を対象に、モデル校設置や実施費用の半額負担などで後押ししてきた。

 その結果、13年度は44市町村、53校だったのが、14年度は297校に急増する見込み。検討中を含めると最大で335校、実施率81・3%となるという。実施率の全国トップは佐賀県の76・8%。

 一方、熊本市によると、うがい実施は現在3校。14年度は行政区単位で1校以上に増やす方針だが、「実施を希望する学校のみを対象にしている」(市健康づくり推進課)という。

 うがい普及に対しては、一部の学校現場から薬物を扱うことに対する不安や負担、有効性や安全性に疑問の声も上がっており、県教職員組合は1日の臨時大会で反対を決議している。(福井一基)

○虫歯本数ワースト5、汚名返上狙う 安全性懸念する声も

 虫歯予防に効果的とされるフッ化物うがいが来年度、県内小中学校で急激に広まる見通しとなった。背景には虫歯本数の多さでワースト5の“汚名返上”を狙う県の強い取り組みがあるが、教育現場には懸念の声も根強い。

 文部科学省の統計調査によると、2012年度の12歳児の平均虫歯本数は熊本が1・6本と全国平均の1・1本を上回り43位。県は歯科保健医療計画で17年度までに全国平均を下回る目標を設定している。

 約40年前からフッ化物うがいに力を入れている新潟県は0・6本とここ数年、全国1位。熊本県内でも先進的に取り組んでいる玉東町が95年の3・88本から12年度は0・26本と劇的に減少している上、世界保健機関(WHO)など専門機関も推奨しているとして、県健康づくり推進課は「安全性、有効性は明らか」と胸を張る。