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どうやって決まる? 診療報酬0・1%増

政府は昨年末の予算編成で、医療サービスの公定価格である診療報酬を4月から0・1%引き上げることを決めました。診療報酬とはどんなもので、どのように決まるのでしょうか。

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 ◇手術や薬ごとに点数 2年に1度の改定

 ―診療報酬とは何ですか。

 病院などの医療機関が病気やけがの治療をしたり、薬を処方したりしたときに受け取る収入のことです。健康保険証を使って受ける治療では、国が定める「公定価格」です。原則として2年に1度、改定することになっており、2014年度は見直しの年に当たります。14年度予算編成で財務省と厚生労働省が話し合い、0・1%増やすことにしました。0・1%上がれば、必要なお金は約400億円増えます。患者や、会社の健康保険組合、市町村が運営する国民健康保険(国保)、税金などで負担します。

 ―診療報酬に消費税は含まれるの。

 4月には消費税率が8%に引き上げられますが、診療報酬そのものは非課税です。一方で、医療機関が仕入れる機器や薬には消費税がかかります。医療機関の収入が実質的には減ってしまいかねないので、これを補う分として診療報酬の改定率に1・36%上乗せしました。それを除くと、実質的にはマイナス1・26%になります。改定率が実質マイナスになるのは6年ぶりです。

 ―病院で払う金額ってどうやって決まってるのかな。

 診療報酬は手術や検査など項目ごとに点数が決められており、料金表のようになっています。1点を10円で計算します。例えば風邪をひいて病院に行ったとします。「初診料」は270点。医師がどの薬を出すか決めて、処方箋を書けば68点なので、診療報酬の合計は338点。医療費は3380円になります。

 ―そんなに払うの。

 公的医療保険の場合、この全額を患者が支払うわけではありません。病院や薬局の窓口での負担割合は、年齢や所得で決まっています。現在は70歳以上が1割、69歳以下と、現役並みの所得がある70歳以上の人は3割、小学校入学前の乳幼児は2割です。ただし4月以降に70歳になる人は70~74歳の間、2割負担になります。

 さて先ほどの風邪のケースで窓口で払う金額は、3割負担の人なら1014円になりますが10円未満の端数は四捨五入になるので1010円です。残りの7割は皆さんが加入している健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)、国保などが負担します。薬局の薬剤師の技術料や薬代も同じ仕組みです。

 ―点数はどうやって決まるの。

 全体で0・1%増になるように、中央社会保険医療協議会が個別の点数を決めて、厚労相に答申します。協議会では、病院や歯医者、薬剤師など報酬を受ける立場の代表、健保組合など報酬を支払う団体の代表、中立的な立場の3者が話し合います。どういう治療や薬にどの程度お金を払えばいいのかという配分を決める作業です。