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診療報酬改定 厚生省、自民議連と財務省で異なる見解

12月に入り、次年度予算編成作業が本格化する中で、最大の焦点とな
る診療報酬の改定について、厚生労働省では、主に消費税増税分を根
拠として、10,12年度と同様引き上げを検討している。アベノミクスに
よる景気回復に加え、消費税増税で増える財源は社会保障費用に充て
る基本方針であることから、これを受けて、厚生労働省は「医療提供
体制の充実・適正化を図る」として、2014年度分の診療報酬について
も、引き上げを要求。また、自民党議員408名中255名が所属する国民
歯科問題議員連盟は11月28日の総会において、尾辻秀久会長は次期診
療報酬改定について「『自民党政権に戻ったら診療報酬が下がるのか』
と言われる事態だけは、絶対避けなければならないと思っている」と
言及した。総会には、大久保日歯会長も出席し「プラス改定で歯科医
療の技術を評価していただけないと、私たちの大切な仕事はとても務
まらない」と発言、歯を残す技術や補綴による食の確保で国民の健康
寿命を延伸させたり、在宅歯科医療を推進するなどの取り組みは、プ
ラス改定でこそ進めることができると訴えた。また、日歯は同議連に
対し、消費税率引き上げが医療機関の負担にならない制度に改める、
社会保険診療報酬に対する事業税非課税の特例措置の存続、四段階税
制の存続を求めた。
一方で、財務省は年間の医療費は約42兆円(13年度予算ベース)で、
負担割合は保険料と税金と患者負担が5:4:1。もし、診療報酬が1%引
き上げられると、医療費は約4200億円増加する。増加分のうち、税金
が1600億円、保険料は事業主と被保険者が折半しているため、企業が
約800億円、家計は約1700億円の負担増となる試算から、アベノミクス
効果で所得から支出へという景気の好循環がうまれ、デフレ脱却に向
け経済が前進しつつある中で、この時期に企業や家計の負担増につな
がる診療報酬プラス改定は時代に逆行すると引き上げに反対を表明し
ている。