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 『和食』がユネスコの世界遺産に ! 

6月の富士山の世界文化遺産登録に続き、「和食 日本人の伝統的な食文化」
が世界遺産登録の見込みとなりました。12月上旬に正式発表される予定です。
現在日本の無形文化遺産は、能楽、歌舞伎、人形浄瑠璃文楽、結城紬、京都祇
園祭の山鉾行事など21件が登録されており、今回が22番目の登録となります。
 「食」に関係する無形文化遺産としては、これまでに「フランスの美食術」
「スペインやイタリアなどの地中海料理」「メキシコの伝統料理」「トルコの
ケシケキ(麦がゆ)の伝統」の4件が登録されています。

 政府は、原発事故で風評被害を受けた日本の食の信頼回復を図り、震災復興
の象徴にしようと昨年3月に和食の登録を新たに提案していました。当初は会席
料理などの「日本料理」を提案する動きもありましたが、一般に広く根付いた
食文化を強調するため「和食」での登録申請となりました。「和食」という言
葉は近代以降、洋食の登場によって洋食に対する言葉として生まれたと言われ
ていますが、食文化の専門家は和食の特徴として、
1. 新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重
2. バランスに優れた健康的な食生活
3. 自然の美しさや季節の移ろいの表現
4. 正月など年中行事との密接な関わり       などを挙げています。
具体的には、
1. 日本の自然の中で生まれた食材や調理法を用いる
2. だしなどでうまみを生み出す
3. 味噌や醤油などの発酵調味料を使う
4. 盛りつけに季節感がある           などの特質が挙げられ、
平安時代末期に始まり江戸時代には一般に広がったとされる「一汁三菜」の食
事のスタイルが基本となり、食文化を豊かにしてきたと言われています。

 JETRO(日本貿易振興機構)の調査などでは、外国人観光客が「訪日す
る前に期待すること」の1位が「食事」また、外国人が好きな外国料理の1位が
「日本料理」と世界で日本の「食」が注目されています。
 農林水産省推計の2013年3月の海外における「日本食レストラン」店舗数は、
55,000店と2010年の約30,000店の2倍近くに急増。日本食のショールームとも言
える海外日本食レストランへの「UMAMI(うま味)」紹介などの様々なア
プローチ、海外からの日本食の研修生の受け入れや、海外での日本食フェステ
ィバルの開催など、日本食の魅力である「新鮮・ヘルシー・UMAMI」など
の理解を深めてもらう活動が始まっています。
 2015年のミラノ国際博覧会(万博)は、これまでとは異なり「食」にテーマ
を絞り、「地球に食料を、生命にエネルギーを」のテーマで開催されます。日
本館では農林水産省と経済産業省が中心となり、食料を巡る地球規模の課題と
解決策の提案を行います。日本食や日本食文化の魅力・奥深さをアピールする
格好の場となりそうです。

 近年までは、家庭での家族そろっての夕食や、勤め人の昼定食などが日本の
伝統的な食文化を支えてきたものの、コンビニのおにぎり・カップ麺やチェー
ン店の丼ぶりものなどの進出で、伝統も危うくなってきています。ビールに枝
豆・やきとり・マグロぶつ…と相変わらずのメニューでも、ここは、居酒屋大
好きサラリーマンの皆様のご活躍もお願いしたいところであります…。