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全51社保病院でずさん会計 決算118億円を修正へ 運営法人に改善命令

厚生労働省は30日、全国51の社会保険病院全てでずさんな会計処理が判明し、2012年度決算で計118億2800万円分の修正が必要になると発表した。田村憲久厚労相は事態を重く見て、病院経営を受託している社団法人「全国社会保険協会連合会」(全社連)に30日付で改善命令を出した。

 社保病院のずさん会計をめぐっては厚労省が3月、全社連の内部調査に基づき45病院で計30億6100万円に上ると公表した。しかし同省はその後、病院を保有する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に再調査を指示。RFOと監査法人が検証し直した結果、全病院で不適切な会計処理が見つかり、金額も4倍に膨らんだ。

 ずさんな会計のうち、伝票などがなく損益が生じた原因を説明できない金額は3億6700万円あった。このほかは大半が収支の計上年度の誤りや未収金の過大・過小評価で、決算を修正しても病院経営が行き詰まることはない見通しだ。

 再調査では、全51病院が計9億1千万円を簿外で処理していたことも判明。一部は職員の飲食に充てるなど「裏金」として使われていた。収益の一部を病院とは別名義の口座で保管しているケースもあった。 修正額が最多となるのは社会保険徳山中央病院(山口県周南市)で27億6300万円。修正額全体の内訳は特別損失が約63億円、特別利益が約49億円など。

 社会保険病院は3病院が売却済みで現在48病院。3月公表の調査は、12年9月時点で売却が決まっていた2病院を除く49病院を対象に実施した。