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海馬とへんとう 虐待受けると組織萎縮

人の脳にも海馬体と呼ばれる場所があります。確かにタツノオトシゴのような形をしていて、大脳の底の部分の両脇にペアで存在します。海馬体の役割は記憶を獲得することです。私たちが経験したこと、聞いたこと、読み書きしたことは、まず海馬体の中にためられて、記憶となります。その記憶は数年たつと大脳皮質に移されて永久的な記憶に移行します。最近の研究で、虐待を受けた子供たちは、海馬体とへんとう体が萎縮してしまうことが分かってきました。
 虐待という受け入れ難い記憶を拒絶する反応なのでしょう。でも、そのために心的外傷後ストレス障害(PTSD)になってしまうことも分かりました。この反応は1回の虐待でも起こりえます。体罰の問題が連日報道されていますが、体罰が良くないことは科学的にも明確なのです。
                             北海道新聞 2013.2.13