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「秋の味覚を賢く食べる」

天高く馬肥ゆる秋。八百屋さんの店先に色鮮やかなミカンや柿やリンゴが賑や
かに並び始めました。魚も野菜もこれから一段とおいしくなって、まさに食欲の
秋到来です。今回は、おいしい秋の味覚の食べ方を、栄養面からご紹介します。
 
 まず、アジ、イワシ、サバ、サンマなどの脂ののった、旬の青魚。血栓防止に
役立つといわれるEPAやDHAをたっぷり含む青魚ですが、ここで注意していただき
たいのは、「身体にいいのは新鮮な場合だけ」ということ。EPAやDHAは酸化しや
すく、鮮度が落ちると酸化して、むしろ有害な物質になるので、ご用心!
 もともとEPAやDHAが注目されたきっかけは、アザラシをよく食べるイヌイット
の人たちが、コレステロール摂取量が非常に多いのにもかかわらず、心筋梗塞が
少ないことがわかったからです。研究の結果、アザラシの皮下脂肪にはEPAやDHA
が非常に多く含まれることが判明しました。
 日本でも、漁村に住む人たちと農村に住む人たちを比較した場合、魚をよく食
べる漁村の人たちの方が、冠動脈疾患の患者さんが少ないという研究があり、EPA
やDHAに中性脂肪を低下させる働きや、抗血栓作用があることがわかっています。
 夏の疲れが出てきた人や、忙しくて慢性疲労の人には、おいしい果物を上手に
食べることをお勧めします。「疲れたときには甘いものがいい」といわれるのは、
たんぱく質や脂質より果糖は吸収が速いから。ミカン等の柑橘類を食べるのは、
疲労物質の乳酸の酸化を抑えるクエン酸が多いのでオススメです。
 激しい疲労を感じた時はゆっくり休み、脳のエネルギー源になるブドウ糖や食
物繊維がいっぱいの柿やリンゴをおいしく食べて、ヘルシーに疲れをとってくだ
さいね。穀物の胚芽に多いビタミンB1、レバーや乳製品に多いビタミンB2も心強
い味方です。
 ただし、果物の糖分(果糖)は、砂糖の糖分(ショ糖)と同じように吸収が早
いので、食べ過ぎると急激に血糖値を上昇させてしまい、おまけに肥満につなが
りやすいので、食べ過ぎに気をつけましょう。

 動脈硬化性疾患に詳しい先生のお話によると、たとえば、一日1,400キロカロリ
ーの食事制限の人の場合でも、果物の一日の摂取量の目安は軽く手を握って、
「にぎりこぶし2個分」なら安全圏。「にぎりこぶし1個分の果物」というのは、
ミカンなら1個、リンゴなら半分、柿なら1個です。

                      コラムニスト 鈴木 百合子

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