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パパとママ 口の形は同じ

音声における「のどちんこ」の役割を象徴するのは、「パパ」と「ママ」を発音するときの比較です。皆さん息を出さずに「パパ」と言ってみてください。口や舌の形が、「ママ」と言っているときと全く同じであることに気がつくと思います。しかし、声を出すと一方が「パパ」になり、一方が「ママ」になるのです。これは、「ママ」では「のどちんこ」が、呼気が鼻へ抜けることを許し、「パパ」では鼻へ抜けることを許さないからなのです。そのため「パパ」では口へ抜ける空気の圧力が増し、唇に圧力がかかり、上唇と下唇が離れるとき破裂音となって「パパ」となるのです。
 「のどちんこ」の働きがないと、「パパ」は「ママ」になってしまうのです。この呼気が鼻へ抜けることを許さない動きを「鼻咽頭閉鎖」という聞きなれない専門用語でいうのです。だれも「パパ」というときに「鼻咽頭を閉めて、口唇に空気の圧力をかけて」と意識は全くしていないと思います。しかし、自然にそのようにできるのが人の能力の不思議なところでしょう。「ママ」「マンマ」という言葉は、比較的容易に、先に赤ちゃんにみられるようになってきますが、気道を調節できることがわかってくると、自然に「パパ」と言えるようになるのです。
 聴覚で「パパ」という言葉を聴いているだけで、今度は自分で「パパ」というときの気道の調節機構を把握できるという人の能力の偉大さに感激しませんか。「パパ」と「ママ」という赤ちゃんの発する最初の言葉は、神が与えた人の能力の偉大さの象徴ともいえるでしょう。