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薬の色、医療者と患者で認識にズレ

「この薬、何色だと思いますか?」

 白いPTPシート(錠剤を押し出すタイプの包装)に包装されたピンクの錠剤の写真を見せながら、澤田は、医療者と患者にこんなアンケート調査をしたことがある。
 医療者では「ピンク」、患者では「白」と答えた人が多かった。「薬の色」を考えるときに、医療者が想像したのは錠剤自体の色だったのに対し、患者が想像したのは、視覚に入る面積の大きいPTPシートの色だった。澤田が医療者と患者の「視点の違い」を強く実感した事例の一つだ。

 もしも、医療者と患者で、薬の色に対する認識にズレが生じていたら-。
 「白い薬があんまり効いていない気がするんです。もう少し増やせませんか?」というような患者の何気ない一言が、医療者にきちんと伝わらない可能性もある。
 澤田が立ち上げに携わった東大大学院薬学系研究科医薬品情報講座では、こうしたデータや事例を、薬剤師や医師、患者から集め、コミュニティーサイトを通じて情報発信している。