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虫歯菌で脳出血リスク4倍 大阪大、日本人の8%

口の中で虫歯の原因となる「ミュータンス菌」の一種が脳出血のリスクを約4倍に高めることを大阪大や浜松医科大、横浜市立大などのチームが突き止め、27日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に掲載された。脳出血の新たな危険因子とみられ、予防や治療薬の開発につながる成果。

 ミュータンス菌は日本人の60~70%が保菌。チームは、ミュータンス菌のうち「コラーゲン結合タンパク質」を持っている特定の菌に着目。このタイプの菌は日本人の約8%が持ち、脳出血の患者では約30%が保菌していた。発症リスクは約4倍になる計算。菌は口移しなどで母子感染する恐れもある。

 特殊な光で血管を傷つけたマウスに、患者の唾液から採取した菌を投与すると、投与しないマウスと比べ脳出血の面積が5~6倍に拡大。高血圧のラットでは約7倍広がった。血管の傷に菌のコラーゲン結合タンパク質が集まり、血管の修復を妨げ出血が増えていた。

 健康な人が保菌していても問題ないが、高血圧やストレス、老化、喫煙などで血管が弱ると脳出血を起こしやすくなる。チームの和田孝一郎(わだ・こういちろう)大阪大准教授は「このタイプの菌を持っていたら、生活習慣に気を付けたり、子にうつさないようにしたりするなどの対処が必要だ」と話している。
2011年9月28日 提供:共同通信社