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40歳以上は2割が重症

歯周病は35歳を過ぎて40歳に差し掛かる頃から患者が急増する。厚生労働省が6年に1度実施している歯科疾患実態調査の結果によれば、歯肉に所見のある人(歯肉炎~歯周炎)の割合は8割程度でほぼ横ばいで推移しており、歯周疾患者は特に増加傾向にあるわけではない。ただし、高齢化に伴って重症者が多くなる傾向があり、40歳以上では2割近くが重症と言われる。慢性の歯周炎からじわじわと悪化していくのが歯周病の一般的なパターンだが、まれに30歳以下で急激に進行する侵襲性の歯周炎があり、このタイプにかかると2年ほどで歯が抜け落ちてしまう場合もある。高校生も歯磨き習慣が徹底しているとは言えず、歯肉炎の若者が増えているので要注意だ。男女別では、男性が2倍以上歯周病になりやすい。背景には、忙しいので歯磨きにかける時間がない、仕事が抜けられず歯医者に行っている時間がないといった生活習慣上の問題がある。グラグラと動くのがはっきりわかるようになってから、やっと医療機関を訪れるのは圧倒的に男性が多い。女性の場合は、妊娠期にホルモンの影響で歯肉炎の症状が出やすくなる。妊婦の歯周病が、早産や低体重児の出産にもかかわっていることも明らかになっている。また、更年期に入ると歯茎が腫れたり出血しやすくなり、骨粗鬆症の影響で骨がもろくなって歯周病が悪化するとされる。
             エコノミスト 2011.5.17