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被災時に有効「あいうべ体操」 かむ力維持 鼻呼吸促す 疾病リスクを軽減

東日本大震災が発生して1ヶ月あまりが経過した。被災地では生活物資や医療品の不足など、不自由な生活が強いられる中、インフルエンザや肺炎など呼吸器系の二次的疾病が増えているという。体力が落ち、ほこりも舞う環境下で健康を守るにはどうしたらいいのか。
 栄養状態の悪化やストレスで抵抗力が弱まり、歯周病が悪化したり、親知らずが痛み出したり、口内炎を発症したりする。虫歯の悪化も招きやすい。歯ブラシなどが不足するなどもあるが避難所特有の現象もある。阪神・淡路大震災の発生から数ヶ月後、歯がボロボロになった子供を診た。皆が肩を寄せあって暮らす避難所生活を送る中、我慢できずに泣きだす子供を黙らせるため、甘いお菓子を与えたのが原因だった。
 「あいうべ体操」
   唾液の分泌を促し、口腔内やのどの粘膜を潤すから口臭も減る。舌の位置が上がることで、ほこりやウイルスが直接口の中に入る「口呼吸」から、鼻毛や、鼻腔奥部の粘膜表面にある細かな鼻絨毛というフィルターを通して外気を肺に取り込む「鼻呼吸」に変わる。天然のマスクをしているのと同じ状態になるから、あらゆる疾病のリスクを軽減できる。舌や唇の筋肉が鍛えられ、特に高齢者は、食道に入るべき食べ物やばい菌が、気管や肺の中に入る誤嚥防止にもつながる。
                  西日本新聞 2011.4.17