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手術着で通勤!アメリカの病院ではScrubが日常着

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私が現在住んでいるところは、ハーバード大学医学部、ブリガム・アンド・ウィミンズ病院、ジョスリン糖尿病研究センター、デイナ・ファーバー癌研究所、ベス・イスラエル病院など名だたる病院が軒を連ねるLongwood Medical Areaからほど近い場所です。周囲には、このメディカルエリアで勤務する医療従事者が大変多く、通園・通勤の際はいつも多くの医療従事者に混ざって子供たちを連れて歩いています。

 留学当初、こちらで驚いたことはいろいろありますが、その中の一つが、医療従事者がScrubと呼ばれる手術着(surgical attire)を着て通勤していることでした。研修医時代、よくこのScrub(当時はオペ着と呼んでいましたが)を寝間着代わりにして当直し、そのまま病棟業務をこなしたりしていたので、疲れ切った当直明けの朝など、着替えるのも億劫でこのまま寮に帰りたい、と思ったことを覚えています。

 また、ICUやNICUの勤務中は数日、あるいは数週間にもわたりずっとオペ着で過ごすので、とても楽で、そのまま病院内で過ごすこともありました。ただ、研修病院が、院内感染、外聞、及び医師のイメージを大切にする病院だったため、オペ着で病院外を歩くことは厳しく禁じられていました。患者さんの目があるから、また、自分たちの医療衣は汚いものだから、と教えられ、歩いて5分の研修医寮に帰るにも、一応着替えて帰っていたのです。

 オペ着は、着心地が楽でしたし、病院で洗ってもらえましたし、着ていく服を考えなくてよかったので、年間1週間しか休みがないような当時の激務の研修生活では、非常に重宝したものでした。

 そんな経験があるため、こちらで、通勤ラッシュの中、たくさんの医療従事者がScrubで通勤するのを見て驚きました。家庭と病院とを同じ服で行き来するのに抵抗はあると思うのですが、ここはEBM(Evidence based medicine)の国アメリカ、一体どんな根拠に基づいてこの習慣をよしとしているのか、あるいは、この地域だけに限った習慣なのだろうか、と調べてみたくなったのです。

吉田穂波