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医療者が新型インフルエンザに罹患しないために

早くも新型インフルエンザの流行が始まった。メキシコや米国で重症化した患者を分析したところ、治療へのアクセスが遅い人が多く、早期に診断し、早期に適切な治療が必要であることが示唆されている。

まずは自分の身を守る!
 医療者が新型インフルエンザに罹患すれば、診療体制を維持することができなくなる。まずは医療者自身が自分の身を守らなければならない。

 ウイルスの感染様式には、(1)接触感染、(2)飛沫感染、(3)空気感染の3つがあるが、新型インフルエンザウイルスは主として、(1)と(2)で感染する。

 接触感染は、手指に付いたウイルスが鼻や目の粘膜に付着して感染する。飛沫感染は、咳によって飛散する粒子を吸い込んで感染する。咳による粒子の拡散は、1.5~2mの範囲といわれている。

 ウイルス感染から身を守るには、ガウン、手袋、ゴーグル、サージカルマスクの着用が推奨される。しかし日常診療においてガウン、ゴーグルを常に着用することは難しい。当センターでは現在、サージカルマスクの着用に加えて、手指消毒を徹底することで、医療者の感染を防いでいる。ただし診断のために検体採取を実施する際には、ゴーグルの着用を義務付けている。

休憩時に油断しないように
 不用意にマスクを付けずに患者に接したり、マスクを付けていても口しか覆わずに鼻を出している人も見かける。必ず、鼻と口を覆うよう、きちんとマスクを付けなければならない。また、休憩時などに油断して、手指消毒する前にマスクを外して鼻や目をこすったりしないよう、気を付けたい。私はしばしば研修医などに、顔をさわる前に手を洗うよう、指導している。

 なお、気管支鏡や気管内挿管などのエアロゾルを産生するリスクのある手技の際は、(3)の空気感染を来す可能性があるので、N-95マスク(径の小さな粒子を通さないマスク)に加えてゴーグル、手袋を着用する必要がある。