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「言語聴覚の日」で講演会‐言語聴覚士協会

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日本言語聴覚士協会は9月13日、3回目となる「言語聴覚の日」講演会を東京都港区で開催した。同日は臨時総会も行い、任意団体から一般社団法人に組織変更することが決議された。同協会では、言語聴覚士法が施行された9月1日を「言語聴覚の日」と定め、2007年から講演会などを通じて言語聴覚障害などへの理解を求めている。
 永生病院(東京都八王子市)の赤木家康副院長は、05年に下咽頭がんと診断され、咽頭・喉頭全摘手術を受けて声を失ったが、「気管-食道シャント手術」を通じて留置型の人工喉頭を挿入することで「新たな声」を得た体験を語った。
 赤木副院長は、がんによって病気を受け入れるという精神的な苦悶と声を失う二重の苦しみに直面。喉頭摘出後は食道発声や電気喉頭などを試しながら、声を補う方法を模索していたが、8か月後に「気管-食道シャント手術」を受けることで「新たな声」を得て、整形外科の職務にも復帰したという。
 「気管-食道シャント手術」は、気管上部後壁と食道上部前壁の間に手術でトンネルを作り、留置型の人工喉頭「プロヴォックス」を挿入することで、肺呼吸を気管から食道に送り込む方法。早期に発声機能を得られ、長い発話や音量の調節ができるほか、身体的な負担も軽減され、この方法により、声帯を摘出しても90%以上の人が発声が可能になるという。
 赤木副院長の場合、発声する際に永久気管孔(治療のために喉頭を取り除かなければならない場合に呼吸のために開ける穴)に設置したボタンを押す必要がある。両手を別のことに使いながら声は出せないが【編注】、赤木副院長は「声が出ることのメリットに比べれば、片手がふさがることは全然問題ない」と強調。がん治療による喉頭摘出後の代替音声は、術後のQOLを維持する上で非常に重要で、がん治療に対するモチベーションを大きく向上させるのではないかと述べた。