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目の前の糖尿病患者さん、もしかして歯周病ではありませんか

日本歯周病学会とのジョイントシンポジウムが5月23日、第52回日本糖尿病学会年次集会で開催された。テーマは「見過ごされている第6番目の合併症――歯周病をめぐって――」。登壇した5人の演者らは、それぞれの立場から歯周病と糖尿病の密接な関係を解説した。そこからは、糖尿病診療に携わる医療関係者に向けて「まずは歯周病を意識すべき」という強いメッセージが発せられた。

 座長を務めた香川大学医学部の石田俊彦氏は、「糖尿病学会と歯周病学会が連携してこのようなシンポジウムを開催できるのは画期的なこと」と意義を強調し、シンポジウムが始まった。

 最初に登壇した広島大学大学院の浅野知一郎氏。浅野氏は「慢性炎症によるインスリン抵抗性の機序」と題し、炎症という視点から解明されつつあるインスリン抵抗性の機序を解説した。歯周病においては、歯肉部での感染から引き起こされる慢性的な炎症、あるいは歯周病菌の産生物が、それぞれ全身的な影響を引き起こしていると指摘。炎症による代謝異常に関連するシグナル伝達や転写因子、さらにはマクロファージの係わり合いなどを説明した。特に、マクロファージの分泌物は、インスリンによる活性化の一部を抑制することが分かっている点を強調。歯周病と糖尿病との関係を基礎医学の知見を元に概説した。