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口から食べるためには(摂食・嚥下機能療法)

 口から食べるということは、生きるためにも人間として生活するためにも必要不可欠なことです。食べにくくなった時は、どのように回復したらよいかを考えましょう。

 

食べにくくなった方への指導、訓練

 飲み込みにくい、食べにくい、お口をきれいにしにくいなどの方に対してどのようにすればよろしいでしょうか?
・食環境
・食内容
・摂食機能訓練(食べるための練習)(飲み込みの基本ステップjpg)
・口腔ケア(お口の中をきれいにして病気を作らないようにすること)
 とキュア(お口の中の病気ができたら治療すること)
 これらの回復もしくは、低下した場合は低下した所を補うこと(代償)を考えましょう。
 


 歯自体にも脱落や破折、不完全脱臼などがおこり、痛みによる発音障害や、咀嚼障害が起こることもありますので、出来るだけ早めに歯科医院へ行きましょう。


<食環境>

(1)食べる雰囲気の整備、心理的配慮、介助者の心遣い
食べやすくするための雰囲気をつくる。そのためには、食べることを手伝うかたの気遣いが大切
高齢によって機能が低下することはごく自然なことです。また、脳卒中など脳血管障害などにより機能が低下することもあります。そこで残された能力を最大限に活用しておいしく食べるために環境の整備が必要となってきます。障害がある場合でも、残された能力に働きかけることによって、失われた能力に換わり、機能が回復することが医学では証明されています(代償性)。おいしく食べられるようになるためには適切な照明、環境音楽、おいしそうな匂いや料理の盛り付け、食器の大きさ、テーブルクロス・カーテンの色までも気をつけるなど五感を十二分に活用させ心理的配慮する必要があります。また、介助者の介助方法にも気を配ることも大切です。
(2)食卓、イスの選択、摂食姿勢、食具・食器の選択(悪い介助の例jpg)
食べるための道具を自分の状態に合わせて選択します
テーブル・イスの高さによっては、良好な姿勢が保持できない場合があります。また、直角では、食物の流れがよく嚥下機能が速さについていけずむせる場合もありますので注意が必要です。
自助具(自立を助けるために工夫された道具)を活用することによって食べる
 (例)すくいやすい皿、鼻が当たる部分を切除したコップ、角度付きスプーン
(3)1 障害の程度や残された能力を知ること
  関節の変形、可動域の制限、疼痛、拘縮、
  麻痺、不随意運動、開口障害、補食障害
2 道具の特性、機能を的確に把握すること
  はし、スプーン、フォーク、食器
3 道具を使用するときの環境を把握すること
  場所、介護の必要性、介助者の続柄


<食内容>

(1)栄養(水分)指導
(2)調理・再調理方法(食形態について)
(3)増粘食品、栄養補助食品、嚥下補助食品

(1)栄養(水分)指導

摂食・嚥下障害のある人は栄養不良に陥りやすい。(つまり摂食・嚥下障害の方に適した食形態で必要な栄養が過不足なく摂取していれば栄養不良は起こりません。)
つまり、個人が摂取している栄養量と必要栄養量を照らし合わせて栄養状態の過不足を知ること、また身体の内外部で起こっている事象(血液、尿データ、体重の推移、過去の食事摂取状況、精神状態、投薬状況など)を加味し栄養状態のレベルを判定しそこからアプローチすることが大切です。

(2)調理・再調理方法(食形態について)

(3)増粘食品、栄養補助食品、嚥下補助食品


飲食物にトロミをつけたり、水分をのみやすくするためにゼリーを加えること
また、薬を飲みやすくするためのゼリー(嚥下補助食品)もある

<摂食機能訓練>

食べる機能を高める口腔リハビリ
口腔リハビリとは障害を受けたり、高齢になって食べたり飲み込んだりすることが困難になって(摂食・嚥下障害)おいしく食べられなくなってしまった時に、衰えた筋や神経、唾液腺を活発にさせるリハビリ(訓練)のことです。食べ物を口に取り込んで、飲み込むまでを各段階に分けますと、捕食期(食物の取り込み)、咀嚼期(食塊形成)、口腔期(食塊移送)に分けられます。その後、飲み込み(嚥下)食道、胃に入っていきます。

(各段階での訓練)

1 捕食期(食物の取り込み)リハビリテーション
  口腔周囲筋・舌マッサージ、口唇・舌のストレッチ、口唇・頬の寒冷刺激、ボタン訓練、構音訓練(マ行、パ行、バ行)、他
2 咀嚼期(食塊形成)のリハビリテーション
  舌マッサージ・ストレッチ、振動刺激訓練(図3)、咀嚼筋・前頚群のマッサージ、咬合訓練、筋肉増強訓練、構音訓練(タ行、ダ行、ラ行)、唾液腺(特に耳下腺、顎下線、舌下線)のマッサージ、唾液腺開口部寒冷刺激、他
3 口腔期(食塊移送)のリハビリテーション
  舌マッサージ・ストレッチ、舌の筋肉増強、構音訓練(タ行、ダ行、ラ行)、唾液腺(特に耳下腺、顎下線、舌下線)のマッサージ、唾液腺開口部寒冷刺激、他






訓練の注意点

飲み込む(嚥下)までの各段階における訓練法を挙げましたが摂食・嚥下は一連の動作であり、それぞれの訓練法は各段階すべてに通じているので、機能障害の種類、程度、部位によって使い分けをしなければなりません。さらに飲み込む(嚥下)障害のリハビリとしては、ブローイング訓練、空嚥下訓練、のどのアイスマッサージ、メンデルゾーンの手法、バルーン法、摂食訓練なども併用して行わなければなりませが、その場合は耳鼻科や言語聴覚士、歯科の先生にご相談ください。

N口腔の健康(口腔ケアと治療)

お口の健康を保つためには、清掃することと、
(1)口腔ケア(清掃)
 歯・歯茎の清掃(歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス)
 舌の清掃(舌ブラシ)
 入れ歯の清掃(義歯ブラシ)
 粘膜の清掃(スポンジブラシ)
(2)口腔キュア(治療)
 むし歯の治療
 歯周病の治療
 入れ歯の治療
  などの歯科治療

O口腔ケア

口は、食物が初めに通る器官で、歯、舌、口蓋、粘膜などの組織からできています。口の清掃が充分に行われないと、食物や細菌によってできた歯垢が原因で、虫歯や疾患が発生します。また、舌に付着した歯プラグは、口臭や味覚の妨げなどの原因になります。
清掃用具には、歯を清掃するための用具と舌や粘膜組織を清掃するための用具があり、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルクロス(糸ようじ)などがあります。歯ブラシは、歯についた食物や歯垢を取り除く用具ですが、歯ブラシだけでは、歯と歯の間や空隙のあるところの清掃が不十分です。そこで、歯間ブラシやデンタルクロスを併用することによって、清掃効果が相乗して高まります。
清掃方法は、年齢によって乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期によって歯ブラシの選択に違いがでてきます。
また、身体の不自由な人や介護用の特殊な改良型歯ブラシも使われます。その他、義歯を使っている方のための義歯歯ブラシ、歯肉および口腔粘膜用のブラシも使われます。

P口腔ケアの手順例

1, 声がけ
2, 用具の配置
3, 姿勢・安全性の確保
4, 口腔ケア
 a, リラクゼーション(準備運動)(深呼吸、首・肩・顔面のマッサージ)
 b, 義歯の取り外し
 c, うがい(洗口、洗浄)
 d, 清拭
 e, 歯ブラシによる清掃、マッサージ
 f, 舌の清掃
 g, うがい
 h, 義歯の清掃、装着
 i, 口腔リハビリテーション(顎・口腔周辺のマッサージ、発声練習、舌の運動)
5, 口腔内の観察・あとかたづけ


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