記事一覧

診療報酬改定の施行時期 6月に後ろ倒しを了承 ―中医協総会

 中医協総会が8月2日に開催され、令和6年度以降の診療報酬改定の施行時期を従来の4月から6月に後ろ倒しする厚労省案を了承した。薬価は、これまでどおり4月に改定する。

 デジタル時代に対応した診療報酬や改定作業の効率化や費用の低廉化を目指す診療報酬改定DXの推進に向けて、共通のマスタ、算定モジュールの開発などを国主導で行い、それを各ベンダーに提供し、準備期間を延ばすことで、集中的な業務負荷を平準化する観点から施行時期が後ろ倒しとなる。
【歯科通信】

ヌーカラで成人の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応追加を一変申請

 グラクソ・スミスクライン(GSK)は9月4日、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体・ヌーカラ(一般名:メポリズマブ)について、成人の既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応追加を一変申請したと発表した。承認された場合、同剤はこの追加適応に対し、日本で初めての抗IL-5生物学的製剤となる可能性がある。

 今回の申請は、日本人、中国人、ロシア人の既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎の患者を対象として、52週にわたり同剤の有効性と安全性を検討した主要な第3相臨床試験(MERIT試験)のデータと、400人以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に同剤とプラセボの効果を比較検討した国際共同第3相試験(SYNAPSE試験)のデータに基づく。

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎は世界の人口の2~4%が罹患しているとされる。日本の慢性副鼻腔炎患者は200万人、このうち約20万人が鼻茸手術の対象となるような患者と推定されている。

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は鼻粘膜の慢性炎症により引き起こされ、Type2炎症の結果、IL-5のレベルが上昇し、鼻茸として知られる副鼻腔や鼻腔に発生する軟部組織の増殖を引き起こすことがある。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者には鼻閉塞、嗅覚の消失、顔面痛、睡眠障害、鼻汁などの症状が現れる。また、重症の場合には手術が適応となる場合があるが、鼻茸は再発する傾向が強く、手術を繰り返すことが多くある。

 なお、ヌーカラは日本で、▽6歳以上の小児および成人の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)、▽成人の既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症――で承認されている。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎が承認されれば3つ目の適応となる。

金パラの告示価格 10月から3,095円 歯科用貴金属の随時改定で

歯科鋳造用金銀パラジウム合金の告示価格が10月から1グラム3,095円と、現在よりも18円引き上げられる。23日の中医協総会で歯科用貴金属価格の随時改定について報告があった。

 対象9品目の公示価格はすべて引き上げられ、「歯科鋳造用14カラット金合金」と「歯科用14カラット金合金」は4品目とも366円増で、「インレー用(JIS適合品)」7,183円、「鉤用(JIS適合品)」7,166円、「鉤用線(金58.33%以上)」7,316円、「金ろう(JIS適合品)」7,143円。「歯科用金銀パラジウム合金ろう」は51円増の3,832円となる。

 「歯科鋳造用銀合金第1種(銀60%以上インジウム5%未満JIS適合品)」と「同第2種(同)」は6円増でそれぞれ157円、190円、「歯科用銀ろう(JIS適合品)」は3円増の272円となっている。


【歯科通信】

日歯 タスクチームを設立して国民皆歯科健診の実現目指す

日本歯科医師会(高橋英登 会長)は24日、いわゆる国民皆歯科健診の実現に向けて、「生涯を通じた歯科健診実現タスクチーム」の設立を理事会で決定した。

 高橋会長は「国民皆歯科健診の実現に向けてのタスクチームを作って、取り組みを軌道に乗せるための第一歩を踏み出している」と強調。自民党の「国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム(PT)」との違いについては、「PTは歯科口腔保健法の改正を目指すもので、われわれはそれを根拠にして、具現化するためのチーム」と説明した。

 蓮池副会長は、「生涯を通じて各ライフステージに応じた継続的な歯科健診実現のために、必要な健診内容とその根拠を整理するとともに、歯科医療機関の受診につながることを前提としたストラテジーの検討を目的としている」と述べ、メンバーや詳細については、追って公表していくとした。


 なお、新執行部でのタスクチームは「キャッシュレス決済推進タスクチーム」に次いで二つ目。

【歯科通信】

歯の治療情報をデータベース化へ、災害時の迅速な身元確認に活用…厚労省

 大規模災害や事故が起きた際、遺体の身元確認に活用するため、厚生労働省は今秋から歯科診療情報のデータベース化に乗り出す。2011年3月の東日本大震災では、遺体の身元を割り出すのに役立ったが、体制の不備などで作業は難航した。このため全国的なデータベースを整備し、身元確認を迅速に進められるようにする。レセプト(診療報酬明細書)を使い、数年以内の実用化を目指す。

 身元確認には外見や指紋・掌紋、DNAなどの方法があるが、歯は硬く、熱にも強いうえ、形状や治療歴は一人ひとり異なるため、有力な手がかりになる。

 警察庁の集計によると、震災で被災した岩手、宮城、福島3県で身元が確認できた犠牲者1万5777人(今年3月時点)のうち、主に歯型で判明したのは、7・9%で、所持品がなかった場合に限ると、7割を占める。

 震災では、津波で流されるなどして遺体の損傷が激しく、身元の特定が難しいケースも多かった。全国から集まった歯科医が歯の状態を調べ、身元の確認作業にあたったが、歯科医院が被災し、津波でカルテなどが流されていたり、残っていても記載内容がまちまちだったりして、照合作業に手間取った。

 データベースの整備は20年4月に施行された死因究明推進基本法に盛り込まれた。レセプトには歯科医院が1人の患者に行った治療内容などが記載され、ほぼ電子化されている。

 厚労省は今秋からデータベースを構築する業者の選定作業に入る。ただ、患者の診療情報を外部に提供するには個人情報保護法に基づき、患者本人の同意が必要になる。政府の個人情報保護委員会などと調整を進め、実用化に向けた課題を整理し、必要に応じて法整備なども検討する。

 将来的には、カルテや画像データを追加し、個人を識別する精度をより高めることも想定している。

 歯科情報のデータベース化に詳しい日本歯科医師会の前副会長、柳川忠広さんは「遺体の身元を確認し、遺族に伝えることは公益性が高い。国は個人情報保護の課題などを解決し、データベース化を早急に進めてほしい」と話している。

中医協 次期診療報酬改定に向け 「在宅」と「歯科」を議論

中医協の第549回総会が開かれ、次期診療報酬改定に向けて歯科訪問診療の評価を含む「在宅」と「歯科診療」の議論が行われた。

 日本歯科医師会 副会長の林 正純 委員は、歯科訪問診療の20分の時間要件の見直しや、病院と歯科診療所の連携促進のための評価、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所と他の施設基準の重複部分の整理、歯科衛生実地指導の実情に応じた評価の見直しなどを要望した。

 さらに病院歯科について「地域の歯科診療所の後方支援としての歯科訪問診療、入院での歯科治療の受入など、地域の状況に応じた役割を担うことにより、連携がより推進されることを希望する」と病診連携を進める検討を求めた。


【歯科通信】

8020達成率は微増の51.6%

 令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)が6月29日に厚労省より公表され、8020達成者率は51.6%(前回平成28年調査では51.2%)だった。45歳以上で20本以上の歯を有する者の割合は、年代別にみると一部を除いて増加傾向で、男女別では大差ないものの45~49歳、55~59歳をのぞいて女性の方が高くなった。

 平均現在歯数をみると、平均20歯を保有する年齢群は70~74歳へと前回の65~69歳と比較し、より高くなった。


【歯科通信}

物価高騰による影響等への支援策など求める 令和 6 年度制度・予算要望書を西村経産大臣に提出

日本歯科医師会は 8 月 2 日、西村康稔・経済産業大臣を訪問して、令
和 6 年度制度・予算に関する要望書を提出し、物価高騰による影響等へ
の支援策などを要望しました。面談には、高橋英登会長、蓮池芳浩副会
長、瀬古口精良専務理事、太田謙司・日本歯科医師連盟会長が出席しま
した。
要望では、経済産業省において、既に健康長寿社会の実現に向けて、
従業員等の健康管理を経営的な視点で考えられ、戦略的に実践する「健
康経営」を推進しているとし、日本健康会議の「健康づくりに取り組む
5 つの実行宣言 2025」でも、宣言 3 で健康経営に取り組む企業等の増加
が掲げられていることに触れました。また、宣言 4 では「加入者や企業
への予防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提供、及び
上手な医療のかかり方を広める活動に取り組む、保険者を 2,000 保険者
以上とする」とされていることにも言及しました。

過去ログ